2009年1月の詩 
Saturday, January 3, 2009, 02:43 PM
「会話」

盛り上る酒の席。
今度(いつか)は家に来てよ。
今度は家に行くよの会話。
地図を描き、名刺を交わす
カタイ、カタイ ヤクソク
それから長い 長い時間が流れる

待ってるわけでなし
行く予定があるわけでなし
「今度とお化けは出たことがない」

だあれも気にも止めない。
咎めもしない。

タバコのけむりより
空気より
カルイ、カルイ、
    ハナシ。




「サンドバック」

おれの宿命は
設計され、設置された時から始まっている。
昼夜なく
容赦なく
打たれつづける
もはや
にげ、かくれできない。
ひたすら耐えるしかない。
どんなに暑い日も寒い日も
いっときの休息もない。

汗のにおいが充満する部屋。
おれは決してぐちをいわない。
たとえ
捌かれる鮟鱇のように
ぶざまに
天井から吊るされたとしても―――



(著者 高橋英夫 小鹿野町在住)

2008年12月の詩 
Tuesday, December 2, 2008, 11:12 PM
「君を探して旅に出た」


君を探して旅に出た
ずっとどこまでも歩いていった
煌く街の明かりの中で泣いた 
君の顔を思い出せないことに気づいて

君を探して旅に出た
ずっとどこまでも歩いていった
夜の森の木々の間で言葉を失った
遠くへ来過ぎたことに気づいて

君を探して旅に出た
ずっとどこまでも歩いていった
朝を告げる亡霊たちの声を聴いて膝を落とした
もう君を愛していないことに気づいて

君を探して旅に出た
ずっとどこまでも歩いていった
僕はそれでも歩き続けた
もう一度生まれ変わったら
こうして歩く人になんかならないんだと考えながら
昨日から今日、そして明日へと

君を探して旅に出た
ずっとどこまでも歩いていった
この星の果てに辿り着くと
そこは出発した場所だった
古い知り合いに君のことを尋ねた
君は君の旅をしていると知らされた
おまえは昔からいろんなことに気づくのが遅かったなといって 
彼は笑って僕の肩を叩いた

 

(著者・大島健夫/千葉市在住)


 

2008年11月の詩 
Wednesday, November 5, 2008, 11:22 PM
「ジェリーフィッシュ」


心に音楽が満ちるように
いつしか言葉が満ちるんだ

からっぽのグラスに
蛍光色のジェリーフィッシュ
ただ漂って 揺らめいて
いつしか唯一の存在になる

噛みごたえのないマシュマロを
溶かして巨大な塊にして
こしらえたベッドで眠るんだ
窓辺のジェリーフィッシュ眺めながら

音楽の箱にリボンをかけて
決して開かないようにしても
いつしか音楽で満ちるんだ
このろくでもない 愛しい世界は

同じように言葉で満ちるんだ
蛍光色のジェリーフィッシュ
ただ漂って 揺らめいて
いつしか唯一の存在になる

舐めても舐めてもなくならない
不思議な魔法のキャンディーみたいな
読んでも読んでも終わらない
とびきり上等の物語みたいな





(著者・笹田美紀 /  東京都在住)




2008年10月の詩 
Wednesday, October 8, 2008, 11:51 AM
「旅の、あなた」


ラピスラズリは、青い。

惑星に似た丸い石は、原石のまま磨かれずにいて、
濡れてもいないのにいつも冷たい。

時々、水脈を聞く。

明かりを知らない水の奏でる音楽を。
明かりの届かない場所で。

生き物の群れ。

森はそう、一切が生きたものの証。
土も。風さえも生きていることに没頭する。

灰。

降り積もり、折り重なり。
あるものは土に。あるものは岩に。

あなたがくしゃみをすると、僕は風邪を引いてしまう。
あなたが目を閉じると、僕は静かに眠ることができる。
雨はいつまでも降り続け、景色の中にあなたを置き去りにする。
私の中に夕立がある。

不意に晴れて、洗われた景色の中、日差しがあなたの上に留まろうとして柔らかい。

優しい愛撫を、あなたに。その指の、記憶を、ピアノを、
あらゆる方向に砕け散るひかりを、あなたを連れ去ってしまう夕暮れの薄闇を、
また別の物語を生きようとする、あなたや私によく似たいきものが懐かしむ。

この星は青に満ちている。
始まりと終わりに燃えながら、また青から青へ。いくつもの青へ。
この静けさを、真夜中の青を、そこは砂漠、生き物たちの廃墟。

旅のあなたよ、月を見上げているか。




(著者・rabbitfighter/東京都在住)


2008年9月の詩 
Thursday, September 18, 2008, 09:50 PM
「人間卒業」

ああ宇宙の隅から隅まで
裸足で走りまわる

光りと影の水たまりを ひとっとび
ああ百点かな

人に生まれて
人に生まれて
あなたは生きている

光りと影の水たまりを ひとっとび
ああ百点かな
  

(著者・丸山ヒデアキ/東京都在住)


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